もはや科学は、地球という限られた系の中で考えるだけでは、
通用しなくなった。
目に見える、見えないにかかわらず、
地球はいつも宇宙からの影響を受けているのであり、
それは生物の進化という点でも同様だ。
この本は、
天体物理学、進化学、生物学、地学、といったさまざまな視点から、
「生命はどこから来てどこへ向かうのか」について考察するものである。
微生物の専門家は、
毎日、顕微鏡を覗いているはずである。
しかし、それではもう古いのだ。
たまには夜空を見上げて、この小さな生き物たちが、
もしかしたら宇宙から飛来したもので、また、地球と同じように、
何処か別の惑星にも彼らの兄弟が住んでいるかもしれない、
と考えなくてはならない時代である。
そもそも「生物とは何か」という定義ですら、
あいまいな状況にある。
また、我々の知っている生物は、
コード配列が異なるだけで、
基本的には同類である。
それとは全く異なる、
別タイプの生物がいないという保証は、どこにもない。
古い常識を捨てて、
新しい視点で生命について考えることの大切さを、
教えてくれる一冊である。