この本が出たときは結構衝撃的で、
文庫化したら買おうと思っていたら、すっかり忘れていた。
そうこうするうちに、「全地球凍結」仮説について、
この本以外の所でたびたび触れる機会が多くなり、
今回やっと「オリジナル」を読むことになった。
科学の新説に対し、賛成派・反対派の科学者たちが、
それぞれどのような反応をするのか。
そこに絡む科学者同士の葛藤を軸に、
「全地球凍結」仮説がどのような道筋を辿ってきたのかを、紹介している。
この説のポイントは2つで、
1.そもそも、「全地球凍結」などという事態が、本当にあったのか。
2.あったとしたら、それは生物の爆発的進化の引き金になったのか、どうか。
1の答えがNOであるなら、2は不要なわけだが、
個人的には、どちらもYES、だと思っている。
カンブリア紀以降の地球の姿は、だいぶ想像できるようになってきたが、
それ以前になると、現代の科学をもってしても、まだ覚束ない部分が多い。
化石が少ない、というのがその理由のひとつではあるが、
ではなぜカンブリア紀から、生物は驚異的な複雑化に成功したのか。
鶏が先か卵が先かではないが、謎だらけなのが、事実なようだ。
解決の糸口は地質学にあるわけだが、
素粒子物理が全盛のこの時代において、果たして地質学のような「地味な」学問が、
どれだけのスポットライトを浴びることができるのか。
僕としては、密かに注目していようと思っている。