先日、国連食糧農業機関(FAO)が昆虫食を推奨する報告書を発表したとのこと。
ヒト(というか、生物)は、エネルギー代謝を行わないと生命が維持できないため、
とにかく「食物エネルギー」を消費し続けていくしかないわけであるが、
食糧には、いつか限界がくる。
食糧不足が手遅れになる前に、国連がこれを発表したのであろうが、
実際どこまで深刻なのかは、現代日本に暮らしている限りよく分からない。
昆虫食が有効である理由には、大きく2つあって、
高タンパク・低脂肪であること、それと、個体数が多いこと、である。
実は1860年代のフランスでは、
「コガネ虫」を使ったさまざまな実験が行われていたらしい。
コガネ虫は、昆虫の中でも脂肪分が多いため、
その油を抽出すれば既存の燃料の代替となり得るか、
幼虫を食糧にできるか、すり潰したものを家畜の餌にできるか、
そして、肥料として使えるか、などだ。
まさに今回国連が発表したような内容を、
すでに150年前には検証していたわけで、
特に、肥料としての利用では、
かなりの費用対効果を挙げた、という記録が残っている。
ではなぜ一般に普及しなかったのかというと、
詳しい理由は分からないが、
おそらくは、まだそこまでする必要はない、
というのと、あとは心理的な理由が一番だろう。
特に「食べる」という面では、
この心理的理由が最大であって、
僕も子供の頃に、イナゴの佃煮とハチの子は食べたことがあるが、
そこまでが限界。
やはり味覚というのは、視覚の補助を大いに受けるものであって、
見た目がマズいものは、味も不味く感じるのは、これは仕方なかろう。
ただ、すり潰して、サプリとか粉末、液体のような形状にすれば、摂取できると思う。
※たとえば、以前スターバックスでは「ストロベリー・フラペチーノ」の赤色は、
虫から摂取していたと、スタバ自ら発表している。
もしかしたら、この先、
そんな「昆虫加工ビジネス」が盛んになる可能性もあり得る。
ただ、万が一昆虫食が盛んになっても、
イルカやクジラの捕獲に反対する人たちが、
同じように、「コガネ虫の捕獲反対!」と叫ぶとは、ちょっと想像しづらい。
虫がいつまでたっても嫌われモノであることは、避けられないのだろう。