科学の各ジャンルを代表する149人が、
それぞれ、自分が「エレガント」であると思う事柄を、
説明するという本である。
149人分なので、1人当り2~3ページとなり、
各テーマのエッセンスをコンパクトに知ることができる。
ひと言で「エレガント」と言っても、
その定義は、149人でバラバラなので、
それがこの本を面白くしている要因でもある。
ただ、科学における「エレガンス」とは、
「シンプルに真実を表すこと」であると言っても、
間違いではないであろう。
シンプルなだけではダメで、それが正しくなくてはならないため、
例えば、「我々の宇宙は数多くの泡宇宙のうちの一つである」というようなものは、
美しい仮説かもしれないが、
真実であるという証明が困難なため、採り上げるべきではないのだろう。
それを踏まえて、僕が個人的に「エレガント」であると思うのは、
この本の中では誰も触れていなかったのだが、
オイラーの公式
である。
大学に入って、数学を独習していたときに詳しく知ったのだけれど、
虚数、自然対数、三角関数といった、一見、関連なさそうに思える要素を、
見事に結び付けていて、
かつ、非常にシンプルで美しい。
他には座標変換とか、
価値観というか、モノの見方を変えてくれるものは、
鮮やかでありエレガントだと思う。
物理の世界に限っていえば、
マックスウェルの電磁方程式と、シュレーディンガー方程式。
この二つが「エレガント」であることに、
異論を唱える人は、いないだろうと思う。