松岡正剛は、僕が一番信頼している著作家だけれども、
これはまた、大変な本を出してしまいましたね・・
彼の膨大な著作の中から、短いフレーズを抜き出し、
それらを歴史順に並べ、編集し直したのが本書で、
繋ぎ合わせた断片が、
そのまま日本の精神・思想・文化史の一大パノラマとなっている。
縄文時代から東日本大震災まで、
日本というクニをあらためて見直してみると、
分かったような分からないような、
いや、分からないんだろうな。
ただ、歴史のところどころにあった分節点を、
ひとつひとつ検討してみると、
現代日本にとっての不幸の原点は、
明治維新にあったことは間違いないだろう。
江戸から明治への革命自体は歓迎すべきなのだが、
問題は、明治政府の向かおうとした先である。
何を残して何を放棄すべきか、
端的にいえばその取捨選択を間違えていたような気がしてならない。
ただ、それのそもそもの原因を辿れば、
260年に渡る江戸時代の平和ボケにあったと思われるから、
歴史とは何とも皮肉なものである。
この本は、単なる歴史の本として読むには勿体無さすぎる。
歴史を知ることで、
現代の日本について知り、今をどう生きるかということについて、
考えさせてくれる。
日本文化に少しでも興味がある人には、
ぜひ読んでもらいたい、素晴らしい一冊です。