この著者の本を読むのはまだ2冊めだけれど、
気候と歴史を結び付けるというアプローチは、
個人的にはとても興味深い。
この本では、歴史といっても、ごくごく最近のことを扱っており、
1993年の我が国での「米騒動」や、
毛沢東政権下の大飢饉、アメリカのダストボウル、
そして「核の冬」に、地球温暖化問題。
政治と気候がどのように結びつき、
それが社会にどのような影響をもたらしたのか、
気候を支配しようとし、逆にそれに翻弄される人間の姿が、
実にクリアに描かれている。
最終章にて、地球温暖化について、
他のどの本よりもこの問題の「人間臭い」側面について語った後で、
二酸化炭素の増加と気温の上昇との間に、
因果関係があるのかどうかは分からないが、
どちらも共に事実であり、
因果関係の有無にかかわらず、それぞれについて問題視する必要がある、
というようなことを述べているのに、とても感心した。
確かに我々は、
Aという事象とBという事象とが無関係であると分かった時点で、
つい安堵してしまいがちなのであるが(AとBが好ましくない事象であればなおさら)、
実はAとBのどちらも、
単独であっても十分に検討すべき事柄であることを、
半ば故意に忘れてしまう傾向にある。
気候というのは、身近でありながら、実は難解な分野だ。
そうであるからこそ、ひとつひとつの問題について、
学者だけではなく、我々一般人のレベルで、
もっと真剣に考える必要がある。
長期的な周期でいえば、
今すぐにでも氷河期がきてもおかしくないとは言われているが、
では、明日の朝起きたら、街じゅうが凍り付いていたとしたら、
一体誰に文句を言えばよいのだろう。
幸いなことに、気候はまだ、地震よりは予測ができる。