「新版 活動期に入った地震列島」(尾池 和夫)

 

この本の初版が出たのが、2007年。

著者は京都大学の総長(当時)ということもあり、
阪神大震災のあと、どれぐらい地震に対する研究が進んだかを、
本書中で、特に熱く語っている。

まぁ百歩譲って、
この本の出た4年後の東日本大震災の「予知」が出来なかったのは仕方ないにしても、

本の内容が、ことごとく関西を中心とした地震についてのみで、
東日本については、ほとんど語られていないのは、
いかがなものか。

なんか露骨に古い学閥的なアレコレが見えるようで、
そんな状態だと、いつまで経っても地震の被害は減らないような気もする。

前にも書いたけれど、地震に割かれる予算の99%以上は、
「すでに起きてしまった地震の研究」に使われる。

でも実は、国民が知りたいのは、過去のことではなく、
「これからのこと」なのだけれど、

そんなものを研究しても予算を取れないから、
「まっとうな」学者は、地震の予知などには見向きもしない。

京大の総長ともなると、「事なかれ主義」に走りたい気持ちも分かるけれど、
過去の地震の研究(しかも関西のみ)についてさんざん自慢をして、

最後におまけのように、2060年ごろ?に南海大地震が来るかも・・・
なんていうのは、無責任もはなはだしいなぁ。

教科書としては、そこそこ優秀なのかもしれないけれど、
KYというか、肝心な何かが欠けている気がする本。