30年前の一家惨殺事件の唯一の生き残りである主人公の女性と、
物的証拠のないまま、犯人とされて投獄されたその兄。
二人の間の家族としての絆は、もはやとっくに失われていたが、
事件の真相が明るみになるにつれ、兄と妹の感情にも微妙に変化が表れてくるという、
サスペンスをベースとしたヒューマンドラマと言っていいだろう。
『ゴーン・ガール』と同じ原作者ということなのだけれど、
30年前の事件という設定にし、
その長い年月の中で、関係者たちの生活や心情が、
事件をきっかけとしていかに変化してしまったかというところに主眼をおきつつも、
サスペンス要素も疎かにすることなく、
最後の最後まで犯人を明かさず、そして意外な真相をオチにもってくるという、
まぁとにかく、原作と脚本がしっかりしているとレベルの高い映画になるという見本。
「人生について考えさせられるサスペンス」(大袈裟だけど)という意味では、
「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」に少し近いかな。
心を閉ざし迷いつつも、真相に迫っていく主人公をシャーリーズ・セロンが好演。
適正価格(劇場換算):1,900円