先週はほぼずっと寝込んでいたのだけれど、
眠りにも限界がある。
布団の中でじっとして眠れず、
かといって本を読む気力もない。
そんなときは酒を飲むか、音楽を聴くのがベストなのだけれど、
さて何を聴こう。
朦朧とした頭で、本能的に選択したのが、
ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」。
20代の頃は、ブラジルを代表するこの作曲家の音楽は、
俗っぽいというか、キワモノっぽいというか、
どうも親しめなかったのではあるけれども、
最近ようやく、自分の音楽感性に外れていないことに気付いた。
まさに大人の音楽。
「ブラジル風バッハ」は1~9番まであり、
楽器編成も曲の構成も多彩で、どれを聴いてもまったく飽きない。
コンツェルト風の3番とか、壮麗な4番もいいけれど、
やっぱり5番のアリアと9番のフーガかな(ベタですが)。
ジャズはもちろんだけれど、クラシックにおいても、
ソロの扱いが巧い曲というのは、聴いていて楽しい。
「ブラジル風バッハ」も要所要所に現れるソロがすごく効果的で、
実はこの辺りもバッハっぽかったりする。
体調が良くなったいま、振り返って考えてみるに、
「適度な形式と、適度な哀愁」
これが病床の僕を惹きつけた理由かもしれないし、
この作曲家の魅力もそこにあるのかもしれない。