「字源の謎を解く」(北嶋 廣敏)

 

出たばかりの本なのでつい買ってしまったわけだけれども、
語源と違って、字源にはどうしてもシラける要素がある。

それは、「甲骨文字でそうなっているから」という説明。

漢字の起源が甲骨文字であることは間違いないから、
そこでの物証は絶対であり反論の余地はないわけだが、

だからといって、例えば甲骨文字の存在を知らなかった『説文解字』の字源説を、
一刀両断に斬り捨てるようなのは、どうも面白くない。ロマンがない。

さらに難癖をつけるならば、
この本で採り上げている多くの漢字は新字体のものであって、

この漢字の字源は分かりますか?
実はこの漢字の旧字体はこうであって、だから字源は・・・

みたいな説明パターンがやたらと多く、
だったら最初から旧字体がない漢字でやれよ!と、若干イライラさせられる。

結局、字源なんてものは間違えて覚えておいた方が面白みがあるんじゃないの?
というのが僕の感想で、

例えば「雷」という漢字であれば、
田んぼの上に稲妻が走っているという「間違った解釈」の方が、
その様子が鮮明に目に浮かぶし、子供がこの漢字を覚えるのにも効果的なはずだ。

勿論中には成程、と思わせるような記述もあるにはあるのだけれども、
うーん、やはり字源は面白くない。

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