「スフィンクスの嘆き」(三宅 幸夫)

 

ピアノもチェロも、毎日毎日バッハを弾いているのに、
実は自分はこの作曲家のことをあまり知らないことに気付いたので、
何か本を読んでみようと思った。

タイトルの「スフィンクスの嘆き」とは、
ワーグナーがバッハの『平均律第1巻』の嬰ハ短調のフーガを評した、

「スフィンクスの、あるいは消えゆく神々の、
あるいは人間が誕生する以前の、自然の優しい嘆き」

から引用したものらしい。

本の内容は大きく三部に分かれていて、

第一部は、バッハの生涯と人物について、
第二部は、楽譜等を用いたバッハの音楽の具体的な分析、
そして第三部は、後世の作曲家、特にワーグナーにバッハはどのように捉えられていたかについて、

となっている。

印象深かったのはやはり第一部、

人付き合いがヘタで、自分勝手&ワガママ、
お金の使い方も上手くない、ゆえに何度も転職を繰り返すという、

破天荒な天才のイメージにピッタリな、
バッハの素顔が垣間見れて興味深かった。

第二部は、主に声楽曲とオルガン曲を中心に分析し、
そこからバッハの特徴を炙り出そうという試みなのだが、
かなり専門的で、僕のような音楽愛好家程度にはレベルが高すぎた。

第三部は、あのメンデルスゾーンによる『マタイ受難曲』復活公演の詳細や、
とりわけ『平均律クラヴィーア曲集』を愛したワーグナーのバッハ観。

それぞれの曲にワーグナーが標題を与えていた、というのが、
中には、ん?というのもあって、微笑ましい。

ということで、ますますバッハを好きにさせてくる一冊だった。

さて、『ロ短調ミサ』でも聴くとするか。

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