なぜこんなヘンテコなタイトルなのかは謎だが、
科学者による科学エッセイ集。
特に、環境やエネルギーの問題については、
その重要性や課題を何度も丁寧に論じており、
そしてそれらが書かれた時期が、
「あの」原発事故の前であることに驚かされる。
あのような問題が発生することは、
この著者のような、一部の学者からは警告がなされており、
それらの警告に真摯に耳を傾けなかったことにより、
取り返しのつかない事態になってしまったというのは誠に遺憾である。
「喉元過ぎれば熱さ忘るる」という日本人の悪しき習性と、
「天災は忘れた頃にやってくる」という寺田寅彦の警告は、
表裏一体、常にセットに考えなくてはならないのであって、
「忘れた」まま何もしないでいることは、
油断というよりも怠慢であろう。
地震にせよ火山の噴火にせよ、
科学が「予知」することには限界がある。
だからといって科学は無力なのではなく、
いつ来るかは分からなくても、そのために我々には何ができるのか、
万が一起きてしまったら何をすべきなのかについては、
科学が正確に教えてくれる。
この本はそうした、日常における科学の重要性について、
さまざまなことを考えさせてくれる一冊だ。