この作品のテーマを一言で述べるならば、「正義とは何か」。
自分にとっての正義であることが、他人にとっては真逆のこともある。
果たして、正義とは絶対的なものなのか、それとも相対的なものなのか。
深いテーマを、かといって重すぎず、考えさせてくれるなかなかの佳作だった。
舞台はミズーリ州の片田舎。
娘をレイプ殺人で失った母親が、
道路沿いの3つの広告板に、事件を解決できない警察を批判する広告を掲示する。
それを支持する人と批判する人々、
警察との諍い、別れた夫との確執、人種差別問題など、
広告を巡ってさまざまな人間ドラマが繰り広げられて、
まったく飽きることはない。
この広告をSNSとかに置き替えてももちろん話は成り立つわけだが、
そうせずに、敢えて田舎の「リアルな」看板にしたところがこの作品の良いところ。
描くべきはあくまでも「リアルな」人間関係であって、
そのためには「リアルな」看板がその媒介役となる必要がある。
人間社会の「泥臭さ」について、
シンプルに力強く表現したオススメの映画。
適正価格(劇場換算):2,000円