奈良時代から江戸時代にかけて、
庶民や貴族、武士たちが、
現代の貨幣価値に換算すると、
果たしていくら稼いでいたのか、
について、さまざまな文献や史料を元に検証した本。
収入を得るということは、
(当然ながら)何かしらの経済的活動がそこにはあったわけで、
各時代に、どのような仕事をしたり、
どのような買い物をしたりといった、
生活の詳細まで知ることができて、かなり興味深い本である。
中でも意外だったのは、
奈良・平安の貴族たちが「従五位下」とかの位を、
数千万とか一億円で買っており、
しかもそれが氏名とともに記録に残っていること。
藤原氏のような「世襲が当たり前」の家柄に生まれなかったものは、
いくら優秀だったとしても出世には限度があるわけで、
であればお金の力で何とかしよう、、
というのは、今も昔も変わらないのかもしれない。
『源氏物語』で光源氏が建てた屋敷の価格とか、
ネタはフィクションの世界にも及んでいて、
古典・歴史好きの人は、飽きることがないだろう。