ローダーズ・オロロソ・カスク

「カエルの子はカエル」
「氏より育ち」
「鳶が鷹を産む」
「瓜の蔓に茄子はならぬ」
・・・・・
・・・

先天性と後天性との関係を表した慣用表現は多いわけだが、
もはやどれが真実かは分からない。

おそらく最新の遺伝子研究をもってしても、
何が正解かは断定できないのではあるまいか。

ただウィスキーに関していえば、
「生まれてから後の」工程の方が、
重要であることは間違いなさそうだ。

蒸留したてのウィスキーは無色透明であり、
そこから樽(カスク)で熟成させることで、
独特の風味や香りが「後付け」される。

この「LAIDER’S(ローダーズ)」というブレンデッドのスコッチは、
まずはハイランド、ローランド、スペイサイドのモルトとグレーンを使用して、
焦がしたバーボンオークで熟成し、

さらにスペイン語で「香り」を意味する、
オロロソ・シェリーの熟成に使用した樽で、
数か月間成熟させて作られたという。

まぁ能書きはどうでも良いのだが、
一言でいえば、「甘い」。

(毎回同じことを書いている気もするが)
やはりウィスキーは、あのドライなぴりっとした味覚がよいわけで、

こういう甘くてマイルドな酒を飲みたいのであれば、
素直にブランデーにすればよろしい。

スピリッツの頂点にはブランデーが君臨し、
あらゆる蒸留酒がそれを目指していたのは事実だろうが、
自身のもつ魅力を消してまで、それに近づく必要もあるまい。

まるで、せっかくの美人が、わざわざ整形してまで、
あこがれの芸能人に似せようとしているような、
不自然さというか、もったいなさというか。

もちろん不味くはないし、
ウィスキー初心者にはオススメできるかもしれないが、
スコッチ独特の男気みたいなものがないし、硬派じゃない。
それだけ。