吉田 たかよし 著「宇宙生物学で読み解く『人体』の不思議」(講談社現代新書)

「宇宙生物学」と言われると、
すごく限定的な印象なのだが、

要するに、地球を特別な存在ではなく、
宇宙に開かれた「系」として捉えることで、

人体(や地球上の生物)の性質や機能も、
理解し、納得ができますよ、という本。

分かり易い例でいえば、「鉄」。

(僕もそうなのだが)何故、ヒトは貧血になりやすいのか。

思えば、鉄というのは宇宙にありふれた元素で、
地球の内部にも豊富にある。

それなのに、人体で鉄が不足するという事実は、
そこには必然的な理由があるに違いない。

といった感じの内容の本なのだが、
著者は宇宙工学(だったかな?)を専攻された現役の医者とのことで、

どうしても人体に関する説明が、
細かくなりがちなのは致し方ないところで、

7割方は人体についての記述だと考えてよいだろう。

この著者の本は何冊か読んでいるが、
多角的な視野で物事を眺める姿勢は、
素晴らしいものだと思っている。