勝田 敏彦 著「でたらめの科学 サイコロから量子コンピューターまで」(朝日新書)
「乱数」についての入門書。

乱数の特徴を端的に挙げるとすれば、

・配列の予想がつかず、偏りもない数の集合
・その数を示すよりも、
短く説明をすることができない数の集合

といったところか。

ただでたらめに数が並んでいるだけではなく、
「偏りがない」というところがポイントで、

まとまった量の数を調べたときに、
特定の数だけが、
多かったり少なかったりしてもいけない。

数学でいえば、
π(円周率)もe(自然対数の底)も、
どちらも乱数のように思えるが、

後者には偏りがあるのに対し、
前者は乱数として理想的なのだという。

「円周率」というのは、
直径に対する円周の比率、
というシンプルで美しい定義であるにもかかわらず、

実態としては、
まさに「ザ・乱数」だというのは、
非常に興味深い。

こういった話から、
身の回りで用いられている乱数や、

今後の科学や技術に、
どのように乱数が活かされていくのかなど、

「科学や数学は整然としてロジカルなもの」

という思い込みを覆してくれる本。

これは半ば余談だが、
子どもの頃、プロ野球ではバッテリー間で、
「乱数表」というものが使われていて、

何のことか、それをどう使うのか、
さっぱり分からなかったのだけれども、

元投手の東尾修氏が、
乱数表の実態について、
詳しく解説したインタビューが載せられており、
ようやく積年の疑問が解けた。