脳、皮膚、骨、心臓、目、
薬、医療、そして死。
ヒトの体をあらゆる方向から解説し、
最新の学説やインタビューを元に、
そのメカニズムと謎に迫る本。
一般向けの科学本に定評のある著者だけに、
この本も、読めば読むほど惹き込まれ、
そしてふと我に返ると、
これだけ医学や科学が進歩してもなお、
人間は自分の体について、
ほんの少ししか知らないということに、
驚かされる。
パンデミックについては、
確かに考えさせられることが多いけれども、
それがあろうとなかろうと、
我々の体は刻一刻と衰えているわけで、
体の衰えに備えるためには、
その機能や特徴について、
知る必要がある。
大袈裟にいえば、
少なくとも健康時においては、
自分の体にとっての最良の医者は、
自分自身であるべきだと思うのである。
専門書を探せばキリがないだろうが、
医学的な知識がなくても、
人体や医療について、
納得と驚きを与えてくれる、
良質な知的エンターテイメントだ。
この本を十代のときに読んでいたなら、
もしかしたら医学への道を、
志していたかもしれない。