2014年、オランダのドキュメンタリー。
この手の作品は、
どうだ、我が国のオーケストラはすごいだろ?
と言わんばかりの、
押し付けがましいものになりがちなのだが、
これは違った。
コンセルトヘボウによる、
ブエノスアイレス、ヨハネスブルグ、
そして、モスクワでの公演を追いかけた、
ドキュメンタリーなのだけれども、
中心にあるのは、あくまでも、
現地の人々の「音楽観(感)」。
そこに、この「ザ・西洋クラシック」のオケが、
どういう影響をもたらすか、が、
この作品のテーマとなっている。
言葉が異なるのと同様、
国や民族が違えば、
親しんでいる音楽もバラバラなのは当然で、
そこに「ザ・クラシック」が、
どう切り込んでいけるのか、
どんな感動や感情の絆を作り出すことができるのか、
そのあたりが見どころだろう。
特に、クラシック音楽からは遠い、
南ア・ヨハネスブルグのエピソードが、
興味深かった。
ヨハネスブルグの少女たちは、
「こんな土地は私達が住める場所ではない」
と言う。
でも彼女たちは、
音楽があるから生きていける、と語り、
生き生きとしてリズムで、
セッションをする。
そんな生活・文化と、
「ザ・西洋クラシック」との出会い。
どうせならヨハネスブルグだけに絞り、
もう少し深堀りして欲しかった感はあるものの、
音楽の枠を越えて、
文化や民族について考えさせてくれる、
良質なドキュメンタリーだと思う。
言葉は通じなくても、
音楽が心を通じてくれることを、
あらためて確認できた。
適正価格(劇場換算):1,800円