ニーアル・ファーガソン 著「大惨事(カタストロフィ)の人類史 」(東洋経済新報社)
災害、疫病、事故、戦争、経済危機…

歴史上のカタストロフィの裏にある、
人間、特に政治的な問題を、
浮き彫りにした本。

福島の原発事故に触れている箇所を含め、
なるほど、と思わせる部分も多々あり、

その視点の鋭さは、
さすが一流の歴史学者と思わせる。

前半は、社会のネットワークという点に、
スポットを当てているのだが、

後半は政治的な問題、
特に新型コロナの話題に突入して以降は、

ん?これって何の本だっけ?
と思ってしまうぐらい、
米中の問題についてヒートアップしてゆく。

ただあまりにも、
トランプ政権と習近平政権との問題に、
固執しすぎてしまっていて、

段々と読むのが苦痛になってきたことは、
否定しない。

そこに頁を割くのであれば、
もっと考察すべき「大惨事」は、
他にいくらでもあるだろうのに。

惜しむらくは、
2020年の著作であるため、
ウクライナの戦争については語られていないこと。

でもこの本を読むうちに、
あの戦争は起こるべくして起こったのだと、
なぜか納得してしまうわけで、

特に、疫病・経済危機・戦争というのは、
「ワンセット」で繰り返されることを、
教訓として学ぶことができた。