ジェフリー・S・ローゼンタール 著「それはあくまで偶然です:運と迷信の統計学」(早川書房)
スポーツ、占い、ギャンブル、
医療、歴史、そして超常現象まで、

世の中には、
とても偶然とは信じられない、
「奇跡」が随所に存在し、

そして「奇跡」に出会ったとき、
我々はそこに、説明のつかない、
何か不思議な力が存在していると、
思いがちである。

たとえば、
サイコロを100回振って、
100回続けて1の目が出たとしたら、

ほとんどの人がそこに、
神秘の力を信じるのではなかろうか。
(もちろん、イカサマでなかったとして)

でも冷静に確率を計算するならば、
100回続けて1が出る確率は、
6の100乗分の1、

これは間違いなく、
気の遠くなるぐらい低い確率ではあるが、
でもゼロじゃない。

つまり神の力なんかではなく、
「あり得る現象」
として説明できる。

もちろん、
単純に計算できないパターンもあるわけで、

たとえば、
飛行機で隣に座った見知らぬ人と、
何気なく話をしていたら、

それがなんと、
幼い時に別れた兄弟だった、
みたいな話。

これまた恐ろしい偶然ではあるが、
あり得ない話じゃない。

兄弟だったら、考えが似ていて、
同じ場所に旅しようと思うのは、
赤の他人よりも可能性が高いかもしれないし。

このように、
一見あり得なさそうな話が、
「どういう理由で」あり得ているのか、

それを説明するのが、
本書の趣旨なわけで、

最後の方には、
「なぜ地球以外で生命が発見されないのか」
というおなじみのテーマも登場するが、

基本的には似たような話が多くて、
正直、後半は若干飽きてくるかも。

あと説明に意外性がないのも、
やや残念。