吉田 司雄 編「オカルトの惑星―1980年代、もう一つの世界地図」(青弓社)
1980年代のオカルトブームが、
どのような社会状況で誕生し、

そして逆に、
社会へどのような影響を与えたのか、

についての論考集。

いわゆる「トンデモ本」の類ではなく、
上記のテーマに真摯に深く、
取り組んでいる。

特に印象的だったのは、
「児童虐待」についてだろうか。

今となっては、
深刻な社会問題となっているが、

70・80年代においては、
主に女性週刊誌が、
特に海外の「鬼母による子供の虐待」を、
おどろおどろしく紹介していたわけで、

逆にそこから社会問題へと認知され始める、
「アウトローから正常へ」という、
一見すると通常とは逆の流れが、

観点としても興味深かった。

あらためて思うことは、
オカルトは必要だということ。

科学をそのまま真に受けただけでは、
つまらないし、危険性も孕んでいる。

本当はただの気球なんだけど、
「宇宙船なんじゃないの?」
という発想がなくなってしまうと、
世の中味気ないものになってしまうのではなかろうか。

そんなオカルトの意義について、
気になる方にはオススメの一冊。