2017年、USのSF映画。
言わずと知れた、
SF映画史上に名を残す、
『ブレードランナー』の続編。
カルト的な人気を誇る、
『ブレードランナー』ではあるが、
僕個人としては、
確かにディテールのデザインや世界観は、
さすがリドリー・スコットなのだが、
脚本が粗すぎて、
かなり勿体ない、という印象。
せっかく、リドリー・スコットお得意の、
「生命体とは何か」
というテーマに繋がり得るネタなのに、
1980年代の前作では、
正直、料理しきれていなかったと思う。
おそらく、スコット自身にも、
忸怩たる思いがあったのかもしれない。
本作では、
約3時間という尺をたっぷりと使い、
前回足りなかった脚本を、
まるでサスペンス作品のように緻密にし、
しかも、前作の「正当なる続編」、
という立場を崩さすに、
見事リベンジを果たしている。
※ただし、今作ではスコットは製作総指揮にまわり、
監督は、『メッセージ』や、
最近では『デューン 砂の惑星』の監督を務めた、
ドゥニ・ヴィルヌーヴとなっており、
彼の貢献が大きいと思われる。
前置きが長くなったが、
本作の舞台は、前作から30年後の、
2049年の地球。
タイレル社の技術を買収した、
ウォレス社による9型のレプリカントが、
地球でも使われており、
主役の捜査官(ブレードランナー)も、
その一人。
旧式レプリカントの抹殺任務を果たす中、
なんと女性のレプリカントが、
子供を残していたという驚愕の事実を突き止める。
そしてそのことが、
自らの誕生にも関わりがあることを知った彼は、
鍵を握っていると思われる、
デッカード捜査官(ハリソン・フォード)のもとを、
尋ねるのだが…
というお話。
前作ではそこまで深入りしなかった、
レプリカントへの記憶の移植について、
かなり丁寧に描かれているし、
そして何と言っても、
アンドロイドが子孫を残すという、
大胆なプロットを挿入し、
あぁ、サー・リドリー・スコットは、
『プロメテウス』じゃなくて、
本当はこの作品で、
生命体とは何か、
人間とはどうあるべきなのか
を描きたかったんだと、
思いましたね、マジで。
前作の世界観も失われていないし、
映像技術も格段に進歩しているし、
続編は前作を超えられない、
というジンクス(?)を破る、
ケチのつけようがない出来だと思う。
ただ、あくまでも前作ありき、なので、
観る際は、必ず前作の復習を。
適正価格(劇場換算):2,049円