スズキナオ 著「家から5分の旅館に泊まる (スタンド・ブックス) 」(太田出版)
そういえば自分も結婚前、
自営業をしてて、
割と時間の融通が利いていたとき、

当時の住まいは新宿だったが、
敢えて都内のシティホテルや、
ビジネスホテルに、

意味もなく泊ってたことが、
しばしばあった。

いま思えば、
いつもと寝る場所が違う、
ということは、

その寝るまでの行動、
例えばどこで飯を食うとか、
酒を呑むとか、

そういうものまでが、
普段とはズレてくるので、

そのちっちゃな「非日常」が、
当時の自分には、
この上ない癒しだったのだろう。

この本も、
そんな「ちっちゃな非日常」を、

著者独特の、角のない、
まあるい文章で綴っている。

悪くいえば、
何の実にもならない読書なのだが、

本の中で、著者がよく、
缶チューハイを飲んでいるように、

何も考えずに酒を、
それも、個性のない缶チューハイを、

ちびりちびりと減らしてゆく、
そんな感覚の読書なのかな。

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