そういえば自分も結婚前、
自営業をしてて、
割と時間の融通が利いていたとき、
当時の住まいは新宿だったが、
敢えて都内のシティホテルや、
ビジネスホテルに、
意味もなく泊ってたことが、
しばしばあった。
いま思えば、
いつもと寝る場所が違う、
ということは、
その寝るまでの行動、
例えばどこで飯を食うとか、
酒を呑むとか、
そういうものまでが、
普段とはズレてくるので、
そのちっちゃな「非日常」が、
当時の自分には、
この上ない癒しだったのだろう。
この本も、
そんな「ちっちゃな非日常」を、
著者独特の、角のない、
まあるい文章で綴っている。
悪くいえば、
何の実にもならない読書なのだが、
本の中で、著者がよく、
缶チューハイを飲んでいるように、
何も考えずに酒を、
それも、個性のない缶チューハイを、
ちびりちびりと減らしてゆく、
そんな感覚の読書なのかな。