「進化とは何か」(リチャード・ドーキンス)

 

ファラデーによる「ロウソクの科学」という名講義の存在を、
知っている人は多いと思う。

このファラデーが開始した科学者によるレクチャーの伝統は、
現在まで190回以上も続いているわけだが、

進化学における鬼才リチャード・ドーキンスが担当した、
1991年のレクチャーを編集したのが、この本である。

レクチャーの様子などの写真が200点以上掲載され、
しかもドーキンスの語り口もそのままに、
あたかも自分が聴衆のひとりであるかと思えてしまうぐらい、
臨場感溢れる一冊となっている。

内容は、ダーウィンの申し子とでもいうべきドーキンスの、
「正当かつ純粋な進化論」を簡潔丁寧にまとめたもので、

彼の書物を読んだことがない人や、今まで科学に興味がなかった人でも、
十分に楽しめるはずである。

巻末に付録されたインタビューでの発言が、
あまり的を射ていない気がするのがちょっと残念ではあるけれども、
ドーキンスファンとしては、そこは無問題だろう。