梅原猛というと、何かと物議を醸してきた印象があるけど。
この本の前半では、仏教において地獄をどのように解釈しているか、
そして後半では、日本文学の中に地獄がどのように表れているか、
が書かれている。
後半で採り上げられているのは、
『源氏物語』、『平家物語』、世阿弥、近松、宮沢賢治、太宰治。
うーーん、どれも単なる評論になっていて、
「地獄の思想」の解説にはなっていない、というのが正直な感想かな。
本書前半における、「地獄」についての考察がまるで後半で生かされておらず、
まぁ、良くも悪くも梅原猛流というか(笑)。
『源氏物語』は登場人物の心に地獄があって、
『平家物語』は世界そのものが地獄だとか、
結局それぐらいのレベルでしか語れないというのは、
ちょっとがっかり。
前半だけであれば、仏教の解説本として多少の読む価値はあるかも。