たまには小説が読みたくて、というか正確に言えば、
「宇宙的SF映画」が観たかったのだけれど、
最近コレ、といった作品がないので、
仕方がないので小説を、、と思い、
だったら、アーサー・C. クラークでしょ、ということで。
かいつまんで内容を説明すると、
22世紀、円筒形の謎の巨大物体(ラーマ)が太陽系に侵入、
ノートン中佐率いる宇宙船が着陸し、
ラーマ内部の探索を開始するのだが、
奇妙な地形、生物ともロボットともつかぬ存在、
謎の海、そして地球を含めた惑星人同士のいがみ合い・・
など、想像を超えたさまざまな出来事に遭遇したのち、
ラーマは何事もなく、太陽系外へ姿を消してゆく、というもの。
全体のストーリーとしては大味なのは否めないが、
ディテールへのこだわりは、
さすがアーサー・C. クラークといった感じで、
これが1960年代に書かれた小説だというのは、
ちょっと信じられないぐらいだ。
例えば、宇宙船がラーマに着陸する際に、
まずはジェットを吹き付けて、
ラーマが反物質ではないことを確認する件とか、
「回転する円筒形」という形態が作り出す、
不思議な地形や重力、コリオリ効果などの描写とか、
映画だったら表現できないレベルの細部こそが、
この小説の醍醐味と言ってもいいだろう。
実は一昨年、
「オウムアムア」(ハワイ語で「遠い過去からの使者」)と名付けられた葉巻型の物体が、
地球の近くを通り抜けるというニュースが話題になり、
マニアの間では、これぞまさに「ラーマ」ではないか、
と騒がれたことがあった。
このニュースを見たあとに読むと、
妙なリアリティを実感できること間違いなし。