ヘロインを密輸してオーストラリアの刑務所に6年投獄された、
日本人ラッパーの自叙伝的ドキュメント、
というと、救いようのないワルによる、
自己正当化のキレイごとの羅列、
みたいなのを想像していたが、
いい意味で期待を裏切られた。
日本語の通じない海外の監獄での6年間を通じて、
人生とは、音楽とは、犯罪とは、
というものを真摯に語る姿勢は潔いし、
感動的ですらある。
これが強盗殺人犯とかであれば、問題外だが、
たまたま「運び屋」になってしまって捕まったというのは、
同情の余地が十分にあるだろう。
何よりも、刑務所から日本に国際電話をかけ、
電話越しのラップを録音させて、
アルバムをリリース(4枚も!)するという、
情熱というか、執念には、素直にリスペクトしたい。
日々を言い訳がましく、漫然と過ごしている自分には、
思わず背筋を正したくなるような、一冊だった。
この人のラップも、ぜひ今度聴いてみなくては。