読書と酒は似ているところがあって、
これはheavyだな、と思っても進みが早かったり、
逆に、lightだと思ったら結構時間が掛かったり。
酒に関するエッセイを集めたこの本は、
ひとつひとつは、
電車の一駅分にも満たないぐらい短く、
かつ内容的にもスラスラと読めるのだが、
(悪い意味ではなく)まるで薄い酒をちびちびと舐めているようで、
読み終わるのに、案外時間を要してしまった。
長編小説を、寝る間も惜しんで、
がっつり読むこともあれば、
こういう本を少しずつ読むのも、
また読書。
著者の愛するあらゆる酒について、
それらが登場する本や映画などに絡めて、
楽しく語ったエッセイ。
酒を飲まない人にとっては、
何の面白みもないのかもしれないが、
逆に「左利き」の読者であれば、
それぞれの話で紹介されている酒の、
味や匂い、見た目が浮かんでくるようで、
まるで酒を飲むかのように、
心に染み入る読書となるであろう。
やはり、酒と読書は似ている。