例によって、原作も読んでないし、タルコフスキー版も観ていないので、
あしからず。
監督がS・ソダーバーグで、制作がJ・キャメロン、
そして主演がG・クルーニーなのに、
思ったほど売れなかったこの映画。
確かに、宇宙を舞台にしているのに、
エイリアンが出てこないSFなんて、一般ウケしないのかもしれない。
SF映画は、「2001年宇宙の旅」で、
まさにこの深いテーマを語らせる、という大役をこなしたわけであるが、
続く「スターウォーズ」「エイリアン」シリーズ等のヒットによって、
視覚的な刺激を追求する方向に向かっていったように思う。
この「ソラリス」は、そのようなSF映画のアンチテーゼとして、
つまり、「2001年~」が目指したSFへの原点回帰として撮られた映画なのではなかろうか。
幸いなことに、最近では、相変わらずドンパチするSFもある一方で、
このブログでもいくつか紹介しているように、「ソラリス」的な深いSFもしばしば公開されている。
(余談になるが、「プロメテウス」という映画は、まさに「ソラリス」的なものを期待して観た人が、
実はエイリアン映画だったということに落胆して、評判を落としているわけだが、
最初からエイリアン映画として観れば、決して駄作というわけではない。)
宇宙ステーションを舞台としたSFに、サスペンス要素が加わり、
人生とは何なのかという深遠なテーマに切り込んでいて、しかも製作陣も主演も超一流。
これはまさしく、傑作の部類かと思われる。
適正価格:2,200円(劇場価格)