「江戸の思い出」(岡本綺堂)

「江戸の思い出」(岡本綺堂)

江戸の思い出
岡本綺堂は1872年の生まれだから、
夏目漱石とほぼ同年である。

漱石や鴎外が、「文豪」として教科書でも取り上げられるのに対し、綺堂のような作家が、
メジャーになることは、まずない。

でも僕は、綺堂が大好きだ。

僕の綺堂熱は「半七」から始まったのだけれども、小説だけではなく、その随筆もまた、味わい深い。

この「江戸の思い出」に収められた随筆は、どれも傑作ばかりで、江戸から明治・大正にかけた、日本史上最大の革命期の
文化的変遷・混乱を、そこから読み解くことができる。

一言で「江戸趣味」といっても、それは例えば荷風翁のような陰湿なものではなく、あっけらかんとした、まさに江戸っ子による江戸の回想なわけで、
そこには嫌味も衒いもない。

かといって、江戸後期の読本に見られるような露骨さもなく、むしろ上品なぐらいだ。

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