「ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム」(古屋 晋一)

 

一見、科学的でないと思われるものを、
科学的に考察する、というのは割とお気に入りのテーマ。

ましてやピアノがネタとなれば、すぐにでも読みたかったのだけれど、

古本屋で見かけたときに高くて手が出せなかったので、
カードの引き落としを待ってようやく買ってみた。
※注:「高い」といっても、あくまでも古本の中では、、
という意味で、それでも、まぁラーメン2杯分ぐらい。

ピアニストの脳や筋肉は、そうではない人と比べてどこがどのように違うのか、
それは先天的なのか後天的なのか、
大人になってからでも習得することはできるのか、など、

興味深いテーマについてものすごく丁寧に解説してくれている。

特に、通常の演奏とは異なる、
初見、即興、暗譜といった「演奏家ならでは」のワザについての、
カラクリの説明は、音楽をやる者として非常に参考になった。

この本に書かれていることは、
ピアニストに限らず、どの楽器をやる人にも概ね共通しているとは思うけれど、

10本の指をフルに使って、あれだけ広音域を奏でられるのは、
ピアノとハープぐらいだろうから、
ピアニストをネタとして採用したというのは、至極もっともなことだろう。

これを読んで、
「ピアニストも大したことないじゃん」と思うか、
「やはりすごいもんだ」と感じるか、
意見が分かれるかと思うが、どうだろうか。

ただひとつ言えるのは、演奏もスポーツも、それらを司っているのは、脳であって、

筋肉はその指令を実現しているに過ぎず、
つまりは、いかに脳を鍛えるか、ということ。

電車の中ではゲームばかりやって、
帰宅してからはテレビばっかり、、という生活はいけませんよ!

脳の可能性は無限大なのです。