「思考の整理学」(外山 滋比古)

 

帯に「東大・京大で1番読まれた本」とデカデカと書かれていて、
世間的にもそれなりに知られているらしい。

どれどれと思って読んでみたのだが、
何てことはない、良い意味でいつもの外山流。

この本で書かれている以上に、
鋭いことや含蓄深いことは、
他にもいくらでも書いているのになと、
今更ながら、マスコミ的な売出し方にギモンではあった。

しかしまぁ、外山滋比古のエッセイはいつ読んでも面白い。

難しいことを難しく語るのではなく、
さらりとした文章の中に、すげー大事なことがずっしり詰まってる。

こういう本はなかなか書けるものではない。

例えばこの本の冒頭の、

学校教育のような記憶に頼った思考しかできないのを「グライダー型人間」、
そうではなく自分で考えることができるのを「飛行機型人間」、

と喩えているあたりは、
思わずウマい、と呟きたくなるし、

声に出すことで思考が洗練されることと、『平家物語』を結び付けるあたり、
あぁなるほどと、ニヤニヤしてしまう。

内容は確かに、学生にとっては感じるところが多いものだけれども、
社会人にとっても、読んでおいて損はないものになっている。