「江戸・東京88の謎」(春日 和夫)

「江戸・東京88の謎」(春日 和夫)

「江戸・東京88の謎」(春日 和夫)

 

暇つぶし的にライトに読める本だと思っていたら、
教科書的なしっかりとした解説で、かなり読み応えがあった。

一応立てつけ的には88ある各章が「謎」の形になってはいるのだが、
別にそれを意識しなくても、通常の読み物として十分イケる。

17世紀の初めに家康が幕府を開いて以降の江戸は、
各種の資料でその細部まで分かるのであるが、

それ以前の江戸と言えば、
15世紀の半ばに太田道灌が江戸城を築いたこと以外は、
歴史の表舞台にはほとんど出てこない。

でも実際には、現在でも地名として残る、
豊島氏、板橋氏、葛西氏、足立氏、そして江戸氏といった武将たちが、
狭いエリアながらも血みどろの争いをしていたわけであり、

そのあたりの「中世の霧と闇」に包まれた江戸の姿を、
できるかぎり資料や遺跡に沿って紹介しているこの本は、

40年以上東京に住み続け、
かつ10か所以上の転居を繰り返している自分としては、
特に興味深い。

現在の家は成増であるが、少し北に歩くと、赤塚城の跡がある。

これは千葉氏の城だったわけで、
なぜここに千葉氏の城が?というのもこの本を読めば納得がいくし、

そしてそのような知識をもとに実際にその場所を歩いてみると、
遙か500年も前の風景が、目の前に蘇るような気もしてくる。

数多くある江戸⇔東京紹介本の中では、
かなりの良書だと思う。

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