山内 一也 著「ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在」(みすず書房)

今騒がれているコロナウィルスをはじめ、
インフルエンザ、エボラ出血熱、エイズ、ノロ等々、

人間にとって厄介な存在であるウィルスであるが、
そもそもウィルスとは何なのか。

どのような性質や種類があって、
地球の歴史の中で「我々のような」生物と、
どのように共存してきたのか。

このようなウィルスについての知識を、
基礎から学べる本。

人間にとって有害なウィルスが、
別の動物とは共存しているのと同様、
人間にとって有用なウィルスもある。

ウィルスは生物の3つのドメイン(真核生物、細菌、アーキア)
には含まれていないが、

個人的には、ウィルス無しでは生物が語れないのと、
そればかりか、ウィルスは生物そのものではと思っていて、

ウィルスがこの地球上にどのように誕生し、
特に、「3ドメインの生物たちの進化と絶滅」に、
どのようにかかわってきたのかが、
今一番知りたいところなのだが、

残念ながらこの本は、そこまでは掘り下げてはいない。

しかしながら、
この本が再三強調しているとおり、
都市で人間が密集して生活する現代社会は、
ウィルスの生存戦略にとってはまさに理想的な環境なわけで、

我々としてみれば、
マスク不足で一喜一憂することよりも、
まずはウィルスとは何者なのかを知ることが大事なのであって、
このような本こそが、その助けになるに違いない。