アガサ・クリスティー 作「ABC殺人事件」(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
地名の頭文字が、
A、B、C…で始まる土地で、

名前の頭文字が、
A、B、C…で始まる人物が、
次々に殺されてゆく。

殺人現場に残されるのは、
ABC時刻表、

そして常に現場にいた容疑者の、
名前もまた、ABC…。

アルファベットにまつわる連続殺人、
というプロットは、
さすがクリスティという感じだが、

うーーん、
殺人の動機もイマイチだし、
殺しの手段もほとんど描かれていないし、

ディテールの詰めが甘いために、
ちょっとこの作者の作品にしては、

読み応えが弱いというか、
内容希薄感が否めない。

ポアロの推理も大したことないのに、
大袈裟な言動でごまかしているようで、

期待していただけに、
残念至極。