百人一首替へ歌(No.23)

百人一首替へ歌(No.23)

第四十五番歌

【原歌】
あはれともいふべき人は思ほえで
身のいたずらになりぬべきかな
(謙徳公)

【替へ歌】
いたずらになりぬる後にあはれとも
いふべきものと待ちつつあるを

詞書によると、この原歌は、
自分を振った相手を恨めしく思って、
送り付けた歌だという。

歌意としては、

振られた私を、
可哀想だと言ってくれる人なんて思い付かず、
私はこのまま死んでしまうでしょうよ

っていう感じで、
前から続いている「女々しい男の恋の歌」。

実際、これにどのような返歌があったのかは知らないが、
替へ歌は、振った女が、
振られた男に送った返歌の形とした。

あなたが死んでしまった後で、
可哀想に、と言ってあげようと待っているのに
(早くしなさいよ)

こんな厳しい返事をもらったら、
ショック倍増だな…。

第四十六番歌

【原歌】
由良の門を渡る舟人かぢを絶え
ゆくへも知らぬ恋のみちかな
(曾禰好忠)

【替へ歌】
夕暮の水面に舵の跡のびて
何処へ急ぐ由良の舟人

ここまでの軟弱な歌の流れを断ち切ってくれる。

言うまでもなく前半は序詞なわけだが、
その描写が目に浮かぶぐらい具体的・絵画的、
かつ言葉の使い方がスマートで、

「ゆくへも知らぬ恋のみち」という、
ストレートな表現を見事に導いてくれる。

替へ歌手法の定番ではあるが、
序詞の世界をそのまま拡大して叙景歌とした。

夕日でオレンジ色に染まった水面に、
舟が跡をつけながら遠ざかってゆく、
舟人よ、一体いずこへ急ぐのか。

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