酒の楽しみ方のひとつに、
原料の違いを味わう、というのがある。

ワインのブドウ品種ごとの違いはもちろんだが、
もっと大雑把な話では、

ウオッカやラムなどの、
スピリッツにおける原料の違いもそれに含まれる。

我が国の穀物の主役は、
何といっても「米」であり、

その「米」を原料として、
醸造酒である「日本酒」と、蒸留酒である「米焼酎」があるわけで、

しかもそれを同じ会社が製造しているとなれば、
その楽しみも増幅される。

「八海山」といえば、
誰もが知る日本酒の一流ブランドだが、

その八海醸造社が手掛けた米焼酎が、
この「風媒花」。

以前、同社による米焼酎として、
「よろしく千萬あるべし」を紹介したが、

あちらがすっきりとした旨みであるならば、
こちらは濃厚で芳醇な味。

オーク樽貯蔵のゆえなのだろうが、
まるで泡盛の古酒のような、
独特のクセと香りによって、

「焼酎族」の中では芋焼酎のみが担っていた役割を、
米焼酎にして実現したというべきか。

とはいえ、お湯割りにして、
その風味を顔全体で受けるというレベルではなく、

やはりストレートかオンザロックで、
米の深みを、潔く味わいたい。

刺身や蕎麦などの和食から、
揚げ物や肉料理まで、
どんな料理にも合う優等生でもある。