不思議なもので、クラシック音楽の世界に入り込めば込むほど、

バロック音楽=古い

という感覚に陥りがちになるのだけれども、
少なくともバッハだけは違う。

若干上げすぎかもしれないけれども、
バッハの音楽は、彼以降の音楽のあらゆるエッセンスを先取りしている、
と言ってもいい。

だから正直、バッハを弾いてると、
別にベートーヴェンもショパンも、
敢えて弾く必要ないよね、と思えてしまう。

そんなこんなで、今年45歳のしがないサラリーマンが、

チェロではバッハの「無伴奏チェロ組曲」を、
ピアノでは同じく「平均律クラヴィーア曲集 第2巻」を、

毎日飽きずに弾けるというのは、
もしかしたら、この上ない贅沢なわけで(少なくとも僕にとっては)。

ということで、
今年の年頭からスタートした、

「平均律第2巻を、1か月に1曲ずつ弾くぜ」企画

も、早くも7か月が経過したこととなり、

幸いにも3日坊主になることなく、
計算どおり、第4番(嬰ハ短調)のプレリュードまで無事終了。

バッハ平均律クラヴィーア曲集 第2巻 」4番プレリュード

しかしまぁ、予想はしていたものの、
段々と難しくなってきており、

最初はエチュード代わりに、、なんて思っていたけれど、
とてもじゃないけど考えが甘かった。

一応、今月弾いていた4番のプレリュードなんて、
もはやこれ自体がフーガだし(笑)。

縦に切っても、横に切っても、
音が斬新すぎて、驚かされることがあって、
むしろ現代の曲の方が、「バッハよりもクラシカル」かもしれないぐらい。

たぶんバッハの凄さは、
聴くだけじゃなく弾いてみないと伝わらないんだろうけれど、

決して派手ではない、内向的な音楽の中に、
(むしろそうであるからこそ)ものすごく深い宇宙が潜んでいて、

一度ハマってしまうと抜け出せないような、
底知れなさがあるわけで、
やっぱりこの趣味は正解&贅沢だな、と。

いくら好きとはいえ、流石にこればっかり弾くのも苦行に近いので、
並行してJazzとかLatinな曲も弾いていて正解だった。

(ちなみに、ほぼ完成していたスクリャービンのエチュードは、
暗譜ができなかったので、あっさり捨てました。)

でもこんな暑い夏の盛りに、
おっさんが独りでピアノに向かってum,um唸りながら、
平均律と格闘するのも、素敵じゃないですか。

ということで、明日からは4番のフーガへ取り組みます。