映画「ジュラシック・ワールド」

(僕も含め)大人も子供も、なぜ恐竜が大好きなのか。

・とにかく巨大なこと。
・種類が豊富なこと。
・デザインに富んでいること。
・すでに絶滅してしまっていること。
・強い(凶暴)存在であること。

これぐらい挙げれば十分だろう。

上記のうちで、「すでに絶滅してしまっていること」というのが、実はポイントである。

我々哺乳類のDNAには、本能的に爬虫類を嫌う傾向が刷り込まれていて、
そんな爬虫類の最凶バージョンである恐竜が、もし現代社会を闊歩しているとすれば、

それは人類にとって最も危険な存在なのであり、
とてもではないが、大好きなどと呑気なことは言っていられなくなる。

だから、我々が恐竜について嬉々として語るというのは、
彼らが既にこの世に存在しない生物であるということが前提で、

かといって、ゴジラやウルトラ怪獣のように、まったくの想像の産物というわけではなく、
過去に存在していたことは確かであるという点が、
恐竜に惹きつけられる理由であるに違いない。

本作を含めた「ジュラシック・パーク」シリーズは、
この、「恐竜は既に絶滅してしまったことが同時に魅力でもある」という、最大のジレンマを、
遺伝子工学という最先端の科学ネタによって、見事にクリアしている。

それまで数多くあった恐竜映画と一線を画すのはまさにこの部分であり、
そして本作ではそれをさらに押し進め、
遺伝子操作によって、最恐・最強の恐竜を作り出してしまった、というのがストーリーの中心となっている。

話の展開は、誰もが想像する通り。

その最強の恐竜が逃げ出してしまい、捕獲しようとするが人の手には負えず、
最後はやっぱり、他の恐竜と闘って終わる、という、
内容がないと言われればそれまでなのだが、

映像の圧倒的なリアルさと迫力、
そして科学に頼りきった人間の、自然に対する後ろめたさのようなものをうまくくすぐられることで、
ついつい見入ってしまう。

恐竜の専門家もこのシリーズを参考にしていると言われるほど、
ディテールにも凝っていて、
今回でいえば、翼竜の頭部が鳥のようにカラフルになっていたのには注目。

ただ、Tレックスに関しては、
別記事で紹介する、「生命大躍進展」では首周りに赤い羽毛を生やしていたのと比べると、
随分と保守的だったような気もするが、どうだろう。

あと、モササウルスの活躍にも触れておきたい。

イルカショーのようなアトラクションで、モササウルスが飼育されているわけだが、
であれば、イルカと外見のそっくりな、イクチオサウルスなどの魚竜を使えばいいのに、、
と思ったのだけれど(ちなみに、イクチオサウルスは僕が好きな古代生物のひとつ)、

なぜ敢えて不恰好なモササウルスを使ったのかは、映画の最後で納得した!
(これ以上はネタバレになるので、書きません)

最新の学説を採り入れて、作品内の恐竜の描かれ方が進化してゆくのも、
この映画を観る楽しみのひとつである。

適正価格:2,000円(通常版換算)