「マルク・シャガール ― 版画の奇跡 無限大の色彩」(@目黒区美術館)

「マルク・シャガール ― 版画の奇跡 無限大の色彩」(@目黒区美術館)

義太夫の稽古を終え、永田町から目黒へ。
南北線というのは、何度乗っても、不思議な違和感がある。

目黒に降りたのは久しぶりだ。
会社経営時代、仕事でよく来ていたこともあり、正直あまり良い思い出はない。

でも今日みたいな快晴の日に、権之助坂をブラブラと歩いてみると、
平日と違って若い人も多く、なかなか楽しい雰囲気だ。

坂を下りきって、目黒川を渡ってすぐ右折、そのまま川沿いの遊歩道を200mほど歩き、
目黒区の施設が集まる公園に入る。

木々の緑と、ほどよい木陰がなんとも心地よい。

僕の中でのシャガールは、とにかく油彩の人。

特に好きな画家というわけではないのだが、
そんなシャガールが果たしてどんなリトグラフを手掛けていたのか、
興味はその一点にあった。

まず最初に観た展示は、版画集「死せる魂」。

墨一色ということもあり、正直、ピンとこない。
随所にシャガールらしさは見え隠れしているものの、これは別に、いいかな。

そして次の展示室で待っていたのが、「サーカス」と「ダフニスとクロエ」。

これには本当に驚嘆した。

これが本当にリトグラフなのか?と。

まるで油彩画であるかのような、微妙な色遣いと濃淡の使い分け。
そして、シャガール・ワールド全開の幻想的な画風。

シャガールは、その豊富な想像力が、時として爆発しすぎて、
意味不明な作品になることもあるのだけれど、

「サーカス」はどちらかといえば、その傾向が強く、
対して「ダフニスとクロエ」の方は、原作の物語に沿っているため、

抑制された想像力の中に、シャガールらしさが濃密に凝縮されており、
これぞまさに傑作と呼びたくなる作品だ。

ダフニスとクロエ

もしかしたら、シャガールにとっての油彩と版画は、
表裏一体をなす表現手法であって、

油彩画のように版画を描き、版画のように油彩画を描く

という、他の偉大なる画家たちが目指さなかったユニークな境地に、
シャガールは到達していたのかもしれない。

新たな発見をした展覧会だった。

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