2010年11月

「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」(中野 京子)

世界史ではなく絵の方に興味があるので、 本書を手にとってみたけれど、結果としては絵よりも、 歴史の面白さの方に引きずりこまれた結果となった。 姉妹編として「ブルボン朝版」の方も出ているけれど、 やはりブルボンとハクスブルクとでは、重みが違う。 「運命のいたずら」としか言いようのない歴史の渦に巻き込まれていく、 王朝の人々の悲劇を、 ここまで適確にかつ簡略に伝えた本は他にないのではないか。 我々が西 […]

「妖怪と怨霊の日本史」(田中 聡)

小、中、高、大、と、我々が受ける教育において、 歴史とは政治史がメインである。 つまり「学校で習う歴史」というのは、 政治=権力の何かしらの介入が行われているものであるから、 それをそのまま事実として受け止めるわけにはいけない。 誤解を恐れずに言えば、 歴史には、捏造とでっちあげの「物語」の側面がある。 だから視点を変えて、 文化史、とりわけその中でも傍流となる観点から歴史を眺めてみると、 意外な […]

「日本的感性~触覚とずらしの構造~」(佐々木 健一)

公私ともども、ぐちゃぐちゃな状態になっており(継続中)、 久々の更新。 主に万葉集と二十一代集の和歌を読み解くことで、 日本的感性をあぶり出そうというのが、この本の主題。 和歌論としては秀逸だと思うけど、 それを「日本的感性」とまで敷衍できるかどうかは、 ちょっと疑問。 和歌というのは、非常に限られた人種だけの為し事であり、 かつその成熟のピーク期間は短い。 確かに他の芸術にくらべて、 感性が流入 […]

「百鬼夜行絵巻の謎」(小松 和彦)

例えて言うなら、「この魚は刺身にしたら 最高なのに、なんで天麩羅にしちゃうかね?」といった感じ。 要するに、「百鬼夜行絵巻」という最高の題材なのに、 調理法を間違えたな、と。 印刷というものがなかった時代、 書物や画は「模写」されるのが通常だった。 例えば源氏物語なんかは、分かりやすい。 おそらく紫式部が書いたオリジナルというのはごく一部だったはずで、 それを創作能力がある人が模写するたびに、 サ […]