2010年12月

「江戸の妖怪絵巻」(湯本 豪一)

よく絶滅危惧動物、という語を目にするけれど、 妖怪こそは絶滅してしまった動物のひとつだろう。 少なくとも、江戸時代までは存在していた。 別に感傷的な意味で言っているわけではなく、事実なのであって、 人々が「信じていた」のであれば、 それは存在していたのである。 しかし、富国強兵を掲げた明治の近代化の前では、 妖怪たちはあまりに無力だった。 街燈に照らし出された夜の街から、 元の闇へこっそりと逃げ帰 […]

「名刀 その由来と伝説」(牧 秀彦)

刀の”オブジェ”としての価値には全く興味はないけれど、 それを握ったもの達が辿った運命というか生き様には、興味がある。 特に源氏代々の宝刀「鬼切」については、 頼光四天王・渡辺綱の腕切りのエピソードなどは昔からよく馴染んでいたので、 いくたびもの呼び名の変遷を経て、 最後は新田義貞の憤死の手に握られていた、 というくだりは、まさにワクワクしながら読めた。 刀を聖なるものと崇める習慣は、洋の東西を問 […]

「江戸の非人頭 車善七」(塩見 鮮一郎)

こちら方面の知識が皆目ない自分がまず驚かされたのは、 非人の監督役の家及び「溜」が吉原に隣接していたという事実。 人生の享楽と悲哀、これらは実は表裏一体なのだ、 ということを暗示しているようで、なかなか面白い。 「エタ・非人」という言葉自体は、 小学校の社会科の授業のときから耳にしていたものの、 現代まで続く根の深い(デリケートな)問題ということもあり、 なかなかそこに踏み込んだ書物を詠んだことは […]

「~特別展 円山応挙 ー 空間の創造風景~」(@三井記念美術館)

基本的には常に忙しいつもりなんだけれど、 ここのところは、ヒドイ。 仕事があるのは嬉しいのだが、 引越しやらなんやらも重なってしまい、 このサイトを更新するのもロクにできていない。 美術館に行ったのも、随分久しぶりだ。 たまには良いものをinputしなければ、良いoutputはできない。 余裕の枯渇している今だからこそ、 敢えて原点回帰で日本画を、、ということで、 円山応挙展へ足を運んだ。 目当て […]