レンブラントといえば、劇的なまでの明暗のコントラスト。
でもそれはカラヴァッジョで十分だし、
それにレンブラントの描く人物には、
残念なことに魅力が乏しい。
今回の目当ては、版画。
それも肖像画や宗教画のような、
ドラマチックな要素を必要としない風景画である。
予想通り、白と黒の濃淡だけで表現されたレンブラントの風景画(特に「3本の木」)は美しかった。
同じモノクロームでも、
東洋の水墨画とは全然違う世界を見せてくれるし、
レンブラント独特の陰影表現も、
油彩画ほど「くどく」は感じられない。
日本の浮世絵と違い、
西洋の版画はどうしても地味な印象がある。
ゴヤもそうなのだけれども、素晴らしい版画を残していても、
油彩画ほど注目されないというハンデがあるのだが、
今回の展覧会では「地味なレンブラント」が楽しめる。