藤田嗣治展

 

JR難波駅から直結する、
ホテルモントレ グラスミア大阪22Fにある山王美術館。

存在すら知らなかったのだが、行ってみると、
キレイなホテルの中のひっそりとした、
小さく控えめな美術館である。

藤田嗣治の展覧会に足を運ぶのは今年2回目、
展示作品が異なるので当たり前ではあるが、
前回とはまた違った感覚に浸ることができた。

今回、一番惹かれたのは、「花」という絵。

和洋折衷、などと言ってしまうと陳腐の極みではあるが、
もはやそれが何の花であるかは意味をなさず、
ただ存在感だけが、絵から伝わってくる。

かといって、例えばルドンやゴッホの花のような、
強烈な自己主張ももっていない。

あらゆる局面を乗り越えてきた77歳の藤田嗣治による、
濃密な人生観というか達観が、
有機物となって花をつけたといったイメージだろうか。