親子以上に歳が離れていながらも、
密接な師弟関係をもった、モローとルオー。
互いに影響を与え、受けたこの2人に焦点を当てたこの展覧会はとても有意義だとは思うが、
ギュスターヴ・モローと並列で鑑賞されてしまっては、
ルオーにとっては、気の毒以外の何ものでもない。
モローにあって、ルオーに欠けているもの。
素人の僕には適切な用語が思い浮かばないが、
敢えていえば、「ストイックさ」。
想像力の中で対象をとことんまで追い詰めたモローと比べ、
ルオーの作品には、気迫というか鬼気迫るものが、ない。
左がモロー、右がルオー。
モローの馬上の「死の天使」の荘厳さに比べ、ルオーのジャンヌ・ダルクはどうだろう。
そもそも画家としての資質が異なるので単純な比較はできないのだが、
ルオーが永遠に師を超えられなかったのは、明白である。
それだけ、モローという存在は、偉大すぎた。
ルオーは、芸術家というよりも、現代でいうところのデザイナーに近かったのだと思う。
彼の色彩や造形に対する感覚は、
時代を先取りしすぎていたのかもしれない。