本当は、明日(13日)の方に行きたかったのだけれども、予定があり。
今日(12日)はガラガラ。小劇場の半分ぐらいしか埋まっていない。
まぁ、素浄瑠璃なので、仕方がない。
新内節をまともに聴いたことがなかったので、それが目当てでもあった。
常盤津や清元と聴き比べれば、違いは明白だろう、と思って臨んだところ、
成程、これが新内節ね、という感じで、
大雑把に言ってしまえば、極めて女性的というか、決して劇音楽ではない、お座敷用のもので、
よく言えば繊細・上品で、三味線なぞは最早飾りレベル。
隣の人が爆睡していたのも、無理はない。
「蘭蝶」というのは、十分に劇的な内容で、義太夫であればもっと違った料理をしていただろうに、
これが、新内節。
この冷めた感じが、逆に新鮮でもある。
休憩を挟んで、常盤津。
上調子を担当していた、常盤津菊太郎さん。
おそらくまだ弱冠二十歳そこそこぐらいと見受けたけれど、あれはいけませんな。
ポジション移動のたびに棹を確認し、音もほとんど鳴っていない。
やはり三味線は正面を向いて弾かなくては(人のことを言えませんが・・)。
最後は清元。
清元栄吉さんの三味線は、素晴らしいの一言。
今回の全出演者の中で、一番目立ってたかな。
あと、名前が分からないのだが、一番末席の若い太夫の声が、圧巻。
声量、声色ともに文句無しで、これにあの独特の枯れ味のようなものが加われば、
将来はかなり有望かと思われる。今後に期待したい。
それにしてもあらためて感じたことは、
やはり浄瑠璃というのは、人形でも俳優でも三味線でもなく、太夫の音楽だということ。
(当たり前ですが)
語りと歌のあの絶妙なバランス、
文芸的に言えば、地の文とセリフとが融合して、一人称と三人称の間を揺らつく感じが、
なんとも言えない醍醐味なわけで。
久々に二時間も純邦楽に浸ってみて、ハッピーな週末だった。