つつじと林檎の花のある静物

 

最低月に一回は美術館に足を運ぼうと思っているが、
週末は音楽関連の行事が入ることが多く、
あまり行けてなかった。

約2か月ぶりに行くことを決めたのが世田谷美術館で、
いつもは用賀駅から歩くのもさほど苦ではなかったのだが、

なにしろ真夏の炎天下、さすがに体力を奪われてしまい、
いま風邪を引いてしまっているのは、
この日が原因なのではと思っている。

ボストン美術館は浮世絵をはじめとした、
日本の美術作品のコレクションで知られており、
2年に一度ぐらいは「里帰り」をするので、
そのたびに観にいっている記憶がある。

今回の展示は、日本発の作品ではなく、
日本画や版画の影響を受けたと思われる、
西洋人による作品がテーマ。

我々日本人が「ジャポニズム」なんて言葉を使うのは、
いささか気恥ずかしいところがあるのだけれど、
なんでもかんでも「ジャポニズム」と言ってしまうのは、
どうも違う気がする。

今回の展示の中でも、明らかに日本の作品の影響を受けていると思われるのは、半分ぐらいかな。

強引に共通点を見出して、「ほら、影響を受けているでしょ?」
と、後から指摘するのはラクな仕事で、
展覧会の価値をそんなところに置きたくはない。

ジャポニズムだろうがなんだろうが、自分の感性に合う作品を見つけられれば、
それでよいと思っている。

今回、一番目に付いたのは、右上に貼った、コールマンの「つつじと林檎の花のある静物」。

つつじと林檎の花、という題材の珍しさもさることながら、
花と枝を精緻に描くその手法がすばらしい。

まさに花の香りが漂ってきそうな、名品である。

そして、触れておかねばならないのが、今回の展示の目玉である、
モネの「ラ・ジャポネーズ」。

 

ラ・ジャポネーズ

 

今回の展示のために、約1年かけて修復を行ったそうで、
お色直しをしての来日である。

この絵は、カミーユが魅力的に描かれていないのが、最も残念な点だ。

日本風(とは僕は思わないが)の装飾に気を遣いすぎたばかりに、
肝心な女性の魅力が半減してしまっていては、元も子もない。

ただ、画面中央に三角形の裾を広げたレイアウト、壁面の団扇の配置のバランス、
着物に描かれた武士が浮かび上がって見えるような立体感など、

日本風なのかどうかはまるで関係なく、
純粋に絵画としての見るべき点は多々あると思う。さすがはモネだ。