フィレンツェの黄金期、
この時代の作品は、やはり観ていて安心する。

人間性というか、豊かさというか、
僕にとっては「癒し」の要素が満載だ。

例によって、気に入った作品をとり上げてみよう。

・フラ・バルトロメオ「ポルキア」

フラ・バルトロメオ「ポルキア」

とにかくバランスが良い。
そして、女性の体が描く優美なカーブ。
欠点を探す方が難しい。

・ギルランダイオ「聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ」

ギルランダイオ「聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ」

これも完璧なデッサンの上に、ディテールを重ね、
表情や姿勢で、三聖人の個性を描き分けている。

衣服の量感が、画面に安定感を与えていると思う。

・デル・サルト「自画像」

デル・サルト「自画像」

瓦にフレスコで描いたという点以外は、
これといった特徴がないと言ってしまえばそれまでなのだが、

非常に大まかな筆遣いにもかかわらず、
この何ともいえない憂いを帯びた表情を描き出しているのは、
並大抵の腕ではなかろう。

自画像にありがちな、矜持といったものは微塵もなく、
ある種の悟りのような気持ちが見てとれる。

不思議な魅力をもった絵だ。

・デル・ブリナ「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」

デル・ブリナ「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」

まず目に付くのは、独特の色調で、
特に肌の白の鮮やかさと、衣服のカラーの控えめな彩度が、
際立っているように思われた。

そして、三人の顔の表情。
どこまでも柔和で、まさに聖母子、というイメージにぴったりだ。

・ブロンヅィーノと工房「メディチ家一族の肖像」

ブロンヅィーノと工房「メディチ家一族の肖像」

本来は、一枚一枚独立した作品なのだが、まとめて紹介。

メディチ家あってのフィレンツェであり、ウフィツィなので、
これらメディチ家一族の肖像は、見逃すわけにはいかない。

自信をたたえたそれぞの表情は、
純粋に肖像画としてみても魅力がある。