まずは「フィンガルの洞窟」。
冒頭から、なかなかメリハリを感じさせてくれる。
だけど、僕は昔からこの曲があまり好きじゃない。
あくまで個人的な感想だけれど、
焦点の定まらない絵画を見せられているような。
続いて、ボロディンの小組曲。
初めて聴く曲なので、楽しみにしていた。
オリジナルはピアノ曲で、
それをグラズノフがオケ用に編曲したとのこと。
これがなかなか、楽しくて美しい曲。
ただ、原曲は最後はノクターンで終わるそうなのだが、
グラズノフがコンサート用だとかで、
余計なスケルツォをノクターンの前後に挟んだのが、大失敗。
余計な調味料を加えて、料理全部を台無しにしてしまった感じだ。
休憩を挟み、メインは「展覧会の絵」。
僕はこの曲は断然、オリジナルのピアノ版が好きだったのだけれど、
今回、オケ版を初めてLiveで聴いたみると、
うん、こっちもいい。
さすがは、ラヴェル。
随所の楽器の使い方が、職人を超えて、もはや魔術師。
CDで聴いていただけでは分からない発見が、いくつもあった。
「展覧会の絵」の中では、「牛車」と「キエフの大門」が大好きで、
特にフィナーレでもある「キエフの大門」は壮麗無比、
Liveの醍醐味、ここに極まれり、といった感じで、
昨今のウクライナ情勢なども考えると、感動的ですらあった。
その想いは、指揮者や演奏者も同じだったのだろう。
アンコールが、掟破りの「キエフの大門」(後半部分のみ)の再演奏(!)だったときも、
驚きよりも、なぜか納得感の方が強かった。
新宿区民として(無料で)コンサートを聴くのは、
これが最後になるかもしれないけれど、
区外に引っ越してからもまた来ようかな、
と思わせてくれる演奏会だった。
[…] オーケストラのコンサートのあとに、そのまま義太夫を聴きに行くというのは、 我ながら何ともまぁ両極端で、でもそんな自分がキライじゃない。 […]